いろいろ思って見ても
やはり彼は私にとって、特別の人なんだと思う。

こんなにも私の心の奥底からかき乱してしまう。
そんな人は、かつていなかった。
彼と別れた後、いろんな人と付き合って
この人の方がいいわ！大好きだわ！って思った人もいたけど
だからと言って、私の家庭生活まで取り乱させるようなことはなかった。


なにが｢特別｣なんだろう。

お互い家庭があって、いわゆるダブル。。。

普通に、家庭と分けて、別の自分になって恋愛を楽しめればそれでいいのに・・・


10年前、あれほど望んだ10年後の自分。

それは、子どもが18歳になったら、自由を手に入れ
彼のもとへ行く。。。


今思えば、なんてばかばかしい。。

笑ってしまう。


この家庭があって、子どもたちがいてこその私なのに。。

すべてを捨ててまで愛そうとした存在。。


「お互い若かったってことだね」

そう彼と笑いあったけど
若かった・・・ってだけで済まない何かがあったことも真実だと思うけど・・・



また彼に会いたいなー。
もう私は、彼の何も奪わない。
ただ二人の時間だけを楽しみ、慈しむ、そんな時間が再び欲しい。そう願う。

帰ってから、「着いたよ」っていうありがとうのメールはいれたものの
次の日から、彼にメールをしていない。

メールすることは簡単。
返事もちゃんと返ってくることはわかっている。


なぜしないか…


気持ちが、どうしようもないくらいに引き戻されるのが怖いから。


ただでさえ、
帰ってから、夫の顔がまともに見れない。

やっとの思いで、ここ1，2年で、
まともな夫婦に戻れているのに。。。

ちゃんと会話し、普通に一緒に出かけ、
娘からも｢仲いいじゃん」なんて言われるほどに。。

たとえそれが表面上であっても
私は、表面上でさえも、そんな風にできなかったから。

夫はいい人で、とても私を大切に思ってくれている。
だけど、私は夫を｢好き｣だと思うことはあまりない・・
きっとそれは価値観とか、夫の人間性が素晴らしすぎて（社会的に）
私は、ついていけないし、
夫の言うことは、いつも正しいし、正論だと思っても
私はつまらぬ凡人で、そうじゃないでしょ！と思っても
そういう私を理解してもらえないように感じるところが嫌いと思うのだ。



彼と出会った10年前、私は、夫に向き合うことすらできなくなってしまった。

私のすべては彼で、
彼のすべてを求め、私は我を忘れていた。



あれから、いろいろなことがあり、
夫婦間も、ようやく｢普通に仲いい」と人様から見ていただける関係に修復したところなのに。。。



今また、私の心が彼に奪われてしまったら、
もう私は苦しくて、そんな生活は耐えられない。

毎日、夫と向き合い、夫と生活を共にしなくてはいけないのだ。



だから、私は、彼にメールをしない。。。


彼のことをふと思い出すことはあっても
彼を私の日常に取り込むことはしないでおこうと思う。


私の幸せのために。

再会の金曜日の次の日、土曜日、
私は、帰ることになっていた。

会ったときに、
「明日、空港へ見送りに来る？」って
冗談交じりに言った時、
「行かないよー。たぶん昼まで寝てるよ。」


そう言ったから、
そりゃそうよね。それが当たり前だわ。って
私も、まったく来るなんて思ってもいなかった。





それなのに。。。

彼は、空港まで来てくれていた。

私が彼に気付いたのは、出発ロビーで、出発40分前。


驚く私に、彼は、「メール見なかったろ？」というけど
私は、急いでいたし、お土産も買わなくっちゃいけなくて
メールなんて見る余裕なかった。


なんで、なんで、携帯、みなかったんだろ…・って後悔したけど
彼はそんなこと何も思ってなくて
たったの20分だけど、一緒にロビーで座ってとりとめのない話しをした。



とりとめのない。。。というより、
彼は、私の心配（子どものこと）を払しょくするように
「だいじょうぶだよ！」って励ましてくれる。


彼に、そう言われると、私は、本当に大丈夫！って気になるから不思議だ。



あっという間に、搭乗口に入らなければならない時間になって
そこで、さよなら・・・した。


10年前は、搭乗口でキスして別れたこともあったっけ。。
そんなこと思い出しながら、、、

彼も、もしかしたら思い出したかな。。


今思えば、握手だけでもしたらよかった・・って


彼の顔を、ふっと思い出すたび
懐かしさで胸が暖かくなる。

10年前、私は、この言葉が好きだった。

永遠・・・


二人は永遠に離れない・・・そう信じて
毎日毎日、ただまっすぐそれしか目に入らず、生きていた。
だいありぃで毎日二人のこと日記に記し。



けれど、突然、終わりを迎え、
私は、ここも去った。




あれから10年の歳月が過ぎ、

私たちは、再会を果たした。



直後、私が友達に送ったメール。
あの頃の私から、今までずっと知ってくれている友達。



＊


10年前と変わらぬ二人に戻っていた・・・

変わったのは二人とも大人になっていたこと。

戻ってしまいそうだな・・・っていう彼の言葉に頷きながらも

　戻らないよ
　戻ったらまた終わりが来る
　今のままなら私たちは永遠だよ・・

そう答える私に彼も同意した。


永遠・・って言葉に
あのころを思い出しながら、
本当に永遠の二人になれたと思ったの。


会ってよかった！


＊


これが、私のその日の想い。。


けど、二日たった今は、また少し違う。



形は戻らない・・戻れない。
そう固く決めているけれど
私の心の中に、再び、しっかりと彼が戻ってきてしまっている。


だから、私は、またこの日記を再開しようと思った。


恋愛・・にはならないけれど
私の中で、何かが変わった。


10年前の別れを、自分自身で決めた別れとして
しっかりと受け止められた・・・っていうか。。

彼の代わりを求めさまよった数年の私にも
正真正銘別れを告げられ
新たな自分に生まれ変われる。。。

そんな気がしている。